久保樹の挑戦:オブスタクルスポーツで世界を目指す戦略と魅力
オブスタクルスポーツで日本記録を保持する久保樹さんが、競技の魅力と戦略について語り、世界選手権への意気込みを明らかにしました。

オブスタクルスポーツは、全長100メートルのコースに設置された12種類の障害物を乗り越え、ゴールまで走り切ったタイムを競う競技です。高松市在住の久保樹さんは、2025年4月19日に徳島県吉野川市で開かれた世界選手権出場をかけた選考会で、28・08秒の日本新記録で優勝しました。
久保さんは、中学時代から陸上競技に打ち込み、香川県立高校の教諭、陸上部顧問を務める傍ら、29歳の時には陸上の四国選手権に出場し、110メートル障害で優勝した経験もあります。34歳からはクライミングも始め、その経験がオブスタクルスポーツに活かされています。
2024年6月、久保さんは妻の桃子さんとともにJOSA公認のオブスタクルコースを訪れました。最初はアスレチックを楽しむだけのつもりでしたが、各障害物に挑戦していくうちにめきめき上達し、その日のうちにタイムが1分を切りました。スタッフからも「最初に1分を切るのはなかなかいない」と驚かれたといいます。
以降、久保さんはオブスタクルにのめり込み、平日は地元高松市で、ジャンプやダッシュ、懸垂などで基礎体力を付けるトレーニングに汗を流しています。毎週末には徳島に通い、有料で使用できる公認コースでライバルとともに技術を磨いています。
競技中は、ミスで失格になるリスクを承知で「大技で攻めてタイムを縮める」か、ミスをしないために丁寧に障害物を攻略し「タイムを犠牲に無難に切り抜けるか」の二者択一を迫られます。また、選手ごとにそれぞれの障害物の得手不得手もあります。「どの障害物に勝負をかけるのか、一か八かの大技に賭けるのか、手堅く行くか……。身体能力だけではなく、戦略や駆け引きが勝負の大きな鍵になる」と久保さんは競技の魅力を語ります。
2025年9月には、出場権を得たほかの7人とともに、スウェーデンで開かれる「OCR世界選手権」に日本人として初めて挑戦します。「ずっと陸上競技をしていて、世界の舞台は憧れだったが、自分はそこに手が届く選手ではなかった。今回、世界に挑戦できてとてもにうれしい」と語り、ベストを尽くすことを約束しました。