イチロー氏、米野球殿堂入り表彰式典前日に熱弁「重圧で押しつぶされそう」
イチロー氏が米野球殿堂入り表彰式典前日にメディア対応し、式典への心境や野球への思いを語った。

日本人選手として初めて米国野球殿堂入り表彰式典に出席するマリナーズ会長付特別補佐兼インストラクターのイチロー氏(51)が26日(日本時間27日)、米ニューヨーク州クーパーズタウンでメディアに対応。27日(同28日)の式典を翌日に控えた心境を語った。
式典前の心境
イチロー氏は「とにかくもうスピーチのプレッシャーで押しつぶされそうで、えらいことになっています(笑)。もちろん緊張しています。スピーチの準備、本当はしなきゃいけないんですけど、今日の朝も僕はフィールドに行って、ロングトスして走ってバット振って(会見に)来ましたから。まあ、そっちの方が大事なんでしょうね(笑)」と語った。
日本におけるMLBへの影響
「日本には、何年か後にその流れがやってくるというのが続いている状態だと思います。いろんなメディアの普及で、その距離はかなり近くなったので、情報としてすぐ入るようになって、距離としては近くなっているんですけど、野球そのものはやっぱり何年か遅れてフォローしている印象です。でも、野球自体、全然まねするというか、同じになる必要はないと思っていて。日本は日本の野球、アメリカはアメリカの野球でいいと思っています」と述べた。
クーパーズタウンの思い出
「選手の時、何度も訪ねて必ずミュージアムの地下に行って昔の選手の道具を見せてもらっているんですが、(今回は)それを目的に来ていない。クーパーズタウンの雰囲気そのものを味わいたいという、そういう変化が明らかにあります。(以前は)目的をはっきり持って訪れていたけれど、今回は何を感じるか、どう感じるのか、それを見たいなと思ってきました」と語った。
殿堂入りのゴール
「まず、ゴールになったことは一度もない。目的としては、やっぱりシーズンを戦っているといろんな感情が生まれて、いい感情もありますけど、自分の心が濁っていくこともたくさんありました。それでクーパーズタウンを訪れると、それをすごくきれいにしてくれて、もう一度リセットして次のシーズンに向かえる。そんな気分でいつもいました。本来、野球選手が持っていなくちゃいけない感情を戻してくれる」と述べた。
現役時代からのトレーニング
「ユニホームを着て同じフィールドに立つということは、同じエネルギーを持っていないと、その資格がない。僕がそれをやめてしまったら、僕からそのエネルギーが出ないと思います。だから一緒にいられないと思うんです、選手たちと。やっぱり現役を引退して精神的には少し楽になって、そういう選手だった人が周りにいると、選手の邪魔になる可能性の方が高いと思うんですよね。だから、そのエネルギーをキープしたい。もしくは選手よりも、もっとエネルギーを持っていたい。それが選手にいい影響を及ぼすんじゃないかと期待しています」と語った。
今のMLBの野球
「今のMLBの野球は、戻りつつあると思うんですよね。頭を使わなきゃできない、考える野球に戻りつつある。例えば、直近で見た相手ではブルワーズがそんな野球をしてました。今一番強いチームです。それはすごくいいことだと思いますね。やっぱり野球っていうのは知恵を絞って考えて、自分の能力を高めていく競技だと思う。じゃないとできない競技だと思うんで、本来。ただ走るのが速い、肩が強い、打球速度が速い、投げる速度が速いとか、それだけでは測れないものだと思うので。今回、こんな感じの選手だった僕が、ここクーパーズタウンにいることが、それは何かのメッセージになることなのかなと思っています」と述べた。