川崎記念展望:地方勢が挑む中央勢の牙城
川崎記念は今年も地方、中央問わず一線級のダートの猛者たちが激しいレースを繰り広げる。昨年の覇者ライトウォーリアは連覇を狙う。

川崎記念展望:地方勢が挑む中央勢の牙城
昨年の川崎記念ゴール前は大接戦。わずかにライトウォーリアが押し切った。今年は地方、中央問わず一線級のダートの猛者たちが川崎最大のビッグタイトルを賭けて、激しいレースが繰り広げる。
サンライズジパングは前走の GⅠフェブラリー S で、久々のマイル戦にもかかわらず内からメンバー最速の上がり 3 ハロン 35 秒 2 という末脚を発揮。4 歳の身ながら、これまで地方、中央合わせてすでに 8 つの競馬場を経験済み。初の川崎コースも苦にすることはなさそうだ。今回は音無厩舎の解散に伴い、新谷厩舎への転厩初戦。新たな環境のもと、初のビッグタイトルを目指す。
メイショウハリオは帝王賞連覇など 3 つの JpnⅠ勝ちがある古豪。距離不足を懸念された前走のフェブラリー S でも、前出のサンライズジパングに次ぐ末脚で 6 着まで追い上げており、復調の兆しを見せている。意外にも川崎コースは初参戦となるが、2 走前の JBC クラシック(佐賀 2000 メートル)では 2 着と器用さも兼備したタイプ。決め手が生きる展開なら久々の戴冠を果たす可能性も秘めている。
グランブリッジは昨年の 2 着馬。川崎 2100 メートルはダートグレードのみで〈2・2・0・0〉と連対を外しておらず、コース適性は高い。前走のダイオライト記念でもタイム差なしの 2 着と好走。牡馬相手でも力は全く引けを取らない。主戦・川田の騎乗停止は誤算だが、一昨年の JBC レディスクラシック(2 着)で騎乗歴のあるモレイラとのコンビなら魅力たっぷりだ。
メイショウフンジンは、2 走前の JpnⅢ佐賀記念で並み居る強豪を相手に逃げ切り、7 歳にして重賞初制覇。前走のダイオライト記念でも先手を取って 3 着と奮闘した。経験豊富で左回りや小回りも苦にすることはないが、ポイントは自分の競馬ができるかに尽きる。
注目の参戦となるのが初めてのダート戦に臨むポタジェだ。3 年前の GⅠ大阪杯勝ち馬で、脚部不安による 1 年 10 か月の休養明けとなった前走のアメリカ JCC は 15 着と大敗。そこで陣営は矛先をダートへと向けてきた。半弟のテンカハルは日本テレビ盃 2 着などダート中距離で息長く活躍しているだけに、新たな一面を見せる可能性は秘めている。
強力な中央勢が優位とみられるが、地方勢も強力な布陣。地元の期待を背負って連覇に挑むライトウォーリアは、昨年の NAR 年度代表馬。前走の報知オールスター C は 2 着と苦杯をなめたが、今回は十分な上積みが見込める。前述したメイショウフンジンとの兼ね合いがカギを握るものの、幸いにも最内枠を引いた。スタートさえ決まればマイペースに持ち込めるはずだ。
2 年前の南関東 3 冠馬ミックファイアは、今年の始動戦にここを選んできた。昨年の 4 走は全て G1級を使われたが、チャンピオンズ C で 13 着と惨敗するなど、厳しい現実に直面した。しっかりと間隔を空けて立て直しを図り、迎える 5 歳初戦。何とかきっかけをつかみたいところだ。
ディクテオンはダートグレード 3 勝の実績馬。手探りで迎えた転入初戦の前走ダイオライト記念は 4 着で、及第点を与えられる内容だった。昨年のこのレースは 0 秒 2 差の 4 着という惜敗。名門・荒山厩舎の手腕で前年以上の走りが期待される。
他にも、スタミナに自信を持つ転入 3 戦目のキリンジや、南関東重賞 3 勝の実績があるサヨノネイチヤなど個性豊かな実力馬が川崎に集結。長丁場だけに騎手の駆け引きも見どころだ。春の夜の川崎に、興味深い戦いが待っている。