阪神コーチが語る、選手を見ることの重要性
阪神の元選手で現在は野球評論家の上田二朗氏が、自身のコーチ経験から選手との関わり方の重要性を語る。

上田二朗氏のコーチ歴と現在の活動
上田二朗氏は 1969 年に阪神タイガースにドラフト 1 位で入団し、NPB 通算 92 勝右腕として活躍しました。引退後は阪神のコーチやフロントとして活躍し、現在は野球評論家として古巣を見つめています。
若手選手育成に励む
上田氏は引退翌年の 1983 年に 1 軍投手コーチ補佐、1984 年からは 2 軍投手コーチとして若手育成に励んでいました。その後も 1 軍投手コーチや 2 軍育成コーチなどを歴任し、選手の育成に尽力していました。
教訓を得る
ある時、甲子園の一塁側のブルペンで仲田マイク(幸司)と田村(勤)がピッチングをしていたんです。私は前の日にマイク をずっと指導したので、その日は田村を指導しなきゃいかんと思って、ずーっと田村ばかり見ていたんです。そしたらマイク が 5 球くらいで投げるのをやめちゃったんですよ。あれっと思って『どうしたんや』と聞いたら『上田さんが僕を見てくれないので(投球練習を)やめます』って…」。上田氏はこれに「ハッとなった」という。
選手との関わり方の重要性
「最初は“ちょっと待ってくれよぉ”って思ったんですけど、今日は田村を見ようと判断したのは私だし、やっぱり選手というのはひと言でも声をかけてあげなきゃいけない。見てやらないといけない。みんながみんなそういう考えを持っているとは限らないけど、そういう考えの選手もいるんだなと勉強になりました。目配りをしたり、声がけをしたり、そういうこともコーチの役割。二度と同じようなことが起きないようにしなければいけないと思いましたね」 上田氏はフロント入りしてからも 2 軍のコーチなどにもそのことを伝えてきたそうだ。「“こういうことがあったんだよ”ってね。『見といてやれよ』『一声でいいから、どうなんや、調子どうや、肩痛くないか、大丈夫か、とか、声をかけてやれよ』『声をかけてやるのと、やらないでは全然違うよ』って、私が管理や編成の頃によくそういう話をしましたよ」。プロ入り後は、ほとんどをタイガース とともに過ごしてきたのだから、その“阪神愛”はハンパではない。