五十嵐亮太:「ノーブランド」野球解説者の波瀾万丈な選手生活と自由な解説者人生
五十嵐亮太は、MLB の解説者として活躍する傍ら、NPB の試合の年間取材パスも持っていない「ノーブランド」の解説者。今回は、そんな五十嵐亮太さんに解説者業界の新潮流について聞いた。

五十嵐亮太:「ノーブランド」野球解説者の波瀾万丈な選手生活と自由な解説者人生
MLB 開幕シリーズの解説を務めた五十嵐亮太さん。波瀾万丈の選手生活からいっそう自由な解説者人生の「源流」とは? photograph by SANKEI SHIMBUN 日本中を熱狂に巻き込んだカブス対ドジャースの東京シリーズ。開幕戦で世帯平均 31.2%という驚異の高視聴率を記録した日本テレビの中継で、グラウンドレベルから生き生きとレポートを届けていたのが五十嵐亮太さんだ。大物も数多い野球解説者のなかで、ひときわフレッシュな活躍を見せる五十嵐さんに、解説者業界の新潮流について聞いた。〈全 2 回の 1 回目/つづきを読む〉 【写真】「高津・古田の黄金バッテリーが若い!」「ノムさんが変顔だと⁉︎」「池山のイタズラ顔が…」ヤクルト黄金時代の懐かし写真を見る 「東京シリーズという大事な試合で起用していただいたことは、ありがたいの一言ですね。強いて言えば、これまで日本だけでなく MLB の解説もさせてもらってきたので、ちょっと使ってみようか、と思ってもらえたのかな」 ご本人は控えめに語るが、今や解説者業界でも羨望の的(?)と言えるであろうドジャースの試合に、2020 年に現役引退したばかりで解説者としては若手の五十嵐さんが起用されているのは、ちょっとした快挙ではないか。
MLB の解説は固定メンバー? 「そこは本当にありがたいです。ただ、東京ドームに行ったときも思ったんですが、MLB の解説をするメンバーが、だいたいいつも見かける方たちで。MLB に特に興味を持っている解説者の小さいグループの中に、僕も入っているということじゃないですか。 皆さんどうお考えかはわかりませんが、同じプロ野球 OB で解説者をやっていても、NPB がメインで MLB はそこまで、という方もいらっしゃると思うので。ただ、今は大谷翔平選手だけは別格で、誰もが興味を持っているかもしれませんが(笑)」 古株の野球ファンからすると、かつては解説者といえばテレビ局や新聞ごとに専属評論家が固定されているものだった。そうしたスタンスも、昨今では変化してきたように感じる。
「僕はノーブランドの解説者」 「変わってきているのか、どうなんでしょうね。確かに、僕は実はどのメディアとも専属契約はしていなくて、それは珍しいかもしれない。だから、NPB の試合の年間取材パスも持っていないんですよ。毎回、取材のたびにそのとき仕事をする媒体のパスをもらっていて。 年間通して、ある新聞なりラジオ局なりと契約して、何十試合を解説して、という働き方には安定している強みがありますよね。なんていうか、ブランドがあってちょっと羨ましいなと思うこともあります。『○○新聞の××さん』として球場に行けるわけですよね。僕はノーブランドでやっている感覚なので(笑)」 毎日のように様々なメディアに登場する五十嵐さんの働き方に、驚かれることもあったとか。 「各局に出させていただいていたら、昔の方法に慣れている方に、ちょっとありえないってびっくりされたり。確かに、専属契約だからこそできる仕事もあると思うので、どちらがいいということでもないでしょうけれど、僕はこのスタンスで楽しくやらせてもらっていますし、今のところ仕事もいただいているので」