北村友一騎手とクロワデュノールの日本ダービー制覇:馬と騎手の信頼が生んだ奇跡
北村友一騎手とクロワデュノールが日本ダービーで見せた人馬一体の勝利と、その裏にあった壮絶なドラマを紹介。


北村友一騎手とクロワデュノールの日本ダービー制覇
2025年6月1日、東京競馬場で行われた「第92回日本ダービー」は、クロワデュノール(牡3、斉藤崇)が単勝1番人気2.1倍の期待に応え、2分23秒7のタイムで優勝しました。鞍上の北村友一騎手(38)はデビュー20年目にして初めてダービージョッキーの称号を手にしました。
人馬一体の勝利
レースは残り350mで決着がつきました。北村騎手は右ムチを一発叩き込み、クロワデュノールの背で追い出しを我慢しながら勝利への号砲を放ちました。
「俺に任せとけ、というぐらい馬も自信を持っていました」と北村騎手は語りました。手綱を通して感じたしびれるような手応えは、まさに人馬一体の証でした。
壮絶なドラマの裏側
北村騎手は過去に背骨を8本折る大怪我を乗り越え、騎手生命の危機を経験しました。その壮絶なドラマを乗り越えてのダービー初制覇は、彼の不屈の精神とクロワデュノールへの信頼が生んだ奇跡でした。
勝利の瞬間
ウイニングランでは、北村騎手は右手人差し指を高々と突き出し、ナンバーワンをアピール。何度も愛馬を指さし、その走りを讃えました。お立ち台での彼の表情は晴れやかで、大きな仕事をやり遂げた達成感に包まれていました。
「僕がダービージョッキーになれたというよりもクロワがダービー馬になれたことが何よりうれしい。僕の思いは馬を信じ、自分を信じること。最後は絶対伸びると信じていた。余計なことをせずにリズム良く、最高のエスコートができた」と北村騎手は語りました。
仲間からの応援
レース前の栗東トレーニングセンターでは、厩舎関係者から「がんばれよ」と声を掛けられ、ダービーを制覇したこともある調教師から「ダービーは人。今年は友一でしょう」とエールを送られていました。レース後も、ほとんどのジョッキーと祝福のハイタッチを交わす珍しい光景が見られました。
感動の余韻
NHKのゲスト解説だった安田隆行元調教師は、人目もはばからずに号泣し、ネットがざわつくほどでした。自身も騎手時代にケガを克服し、名馬トウカイテイオーとのコンビでダービージョッキーに輝いた経験がある安田元調教師は、北村騎手をバックアップしていました。そんな深いつながりから熱い思いがこみ上げてきたのでしょう。
この勝利は、北村友一騎手とクロワデュノールの信頼と努力が結実した瞬間でした。