秋の佐賀王者・龍谷がセンバツ優勝候補・横浜と戦って得た自信【注目校の〈リベンジ 2025〉最終回】

センバツ選考漏れの佐賀王者・龍谷が、センバツ優勝候補・横浜との戦いで得た自信を語る。春は秋の結果が本物だったのか、その証明となる戦いが待っている。

秋の佐賀王者・龍谷がセンバツ優勝候補・横浜と戦って得た自信【注目校の〈リベンジ 2025〉最終回】

1 月 24 日、センバツ大会出場校 32 校が発表され、いよいよ高校野球も春を迎えようとしている。一方、センバツ切符を逃した学校は、昨秋の悔しさをバネに日々練習に励んでいる。「一冬越えれば化ける」とも言われるこの期間。春、夏でリベンジに燃える球児たちは、どんな成長を遂げているのか。全国各地で巻き返しを誓う学校の「今」を指揮官の言葉からひも解く。

今回のセンバツには、春夏通じて甲子園初出場となるエナジックスポーツをはじめ、4 チームが一般枠として九州地区から選出。彼らに一歩及ばなかったのが龍谷だ。

佐賀王者として九州大会に乗り込んだが、九州大会は初戦の柳ヶ浦を前に 3 対 5 で敗戦。2015 年以来となる甲子園出場は叶わなかった。

そんなチームに大きな転機となる試合があった。昨春、招待試合で名門・横浜と対戦したことだ。その試合に関して、龍谷の指揮官・徳山 誠一朗監督は、こう振り返る。

「1 試合だけでしたけど、1 対 6 で負けたんです。でも抑えることもできているので、『いける時はいけるんだ』と自信を持つことができました。

そのときは織田(翔希)くんが先発だったんです。正直、『1 年生がこんなボールを投げられるのか』と思いましたし、『上には上がいるな』と学ぶところがありました。また、1 つ 1 つのプレーから甲子園を見据えて、全国で勝つにはどうするか。そうしたところから伝わる気迫というか、風格が凄いと思いました。横浜はやっぱり野球を中心に高校生活を送れているんだと感じましたね」

名門の佇まい、そしてプレーに刺激をもらった徳山監督、そして選手たち。そのおかげもあってか、秋季大会で佐賀県の王者になった。センバツには届かなかったが、1 つ結果を残した。春以降も躍進が期待されるが、徳山監督の気を引き締める。

「春は正直、うまくいかないのではないか、思っています。秋に勝てたのはエースが好投して、日替わりでヒーローがたまたま出てくれたからです。もっといえば、新人戦は初戦敗退をしている。強いチームではないですし、春は追われる立場になりますが、秋のような戦い方を続けるのは簡単ではない。

選手たちにも同じ話をしますし、『現状維持は衰退だよ』だったり、『本当の力が春、そして夏にわかると思う』と言葉をかけます。とにかく日々の積み重ねを絶対に怠らないようにしています」

そうした中で成長してきたのが、秋の躍進を支えたエース・勝間田 莉音投手(2 年)。

九州大会で 140 キロを計測したが、武器は、高い制球力と多彩な変化球でゲームを作れるところにある。球速、球威が出てくれば、春も十分期待ができる。2 番手以降の投手陣も、「横浜の時に好投してくれた」と期待する右サイドハンド・右近 鼓太郎投手(1 年)など、楽しみな選手がそろっているという。

また野手陣では、「ショートの副主将・松岡(奨真)が仲間に指導してリーダーシップが芽生えたり、主砲・松尾(朱莉)がチームの雰囲気を作ったりと、新たな一面が出てきた」と徳山監督は話す。松岡、松尾、そしてチームをまとめる主将・西 琉杏内野手(2 年)がチームを引っ張れば「春は面白くなると思います」と期待を寄せていた。

12 月中に体づくりに力を注ぎ、1 月から基礎の見直しをしながら、個々のレベルを上げてきた。時折、「合わせるためにやりますが、そこで責任をもって合わせられないと、全体が合わない」と全体でのシートノックをやる機会を作ることで、危機感を与えているという。

秋の王者が、再びチャレンジャー精神で迎える春。

「相手に嫌だなと思ってもらえるような攻撃、一打二進の打撃、走塁はしたいですし、守備は粘り強く戦えたらと思います。覚悟を決めて、練習に取り組んだ選手が良い思いをすると思うので、そんな選手を増やせるような雰囲気を作りたい」

と話して徳山監督は決意を語った。

春は秋の結果が本物だったのか、その証明となる戦いだ。再び上位進出を果たし、集大成の夏へ繋げられるか。

次に読むべきもの

【甲子園】スカイブルー旋風!山梨学院が鮮烈11得点で昨夏王者撃破 ユニホーム進化論に迫る
高校野球

【甲子園】スカイブルー旋風!山梨学院が鮮烈11得点で昨夏王者撃破 ユニホーム進化論に迫る

甲子園準々決勝で鮮烈スカイブルー軍団・山梨学院が昨夏王者を撃破。ユニホーム進化と打線爆発の相関関係を徹底分析。躍進を支える「水色の戦略」に迫る。

【三重発】二刀流の星・西川篤夢が放つ145km&3安打! 神村学園伊賀が圧勝で甲子園へ猛進
高校野球

【三重発】二刀流の星・西川篤夢が放つ145km&3安打! 神村学園伊賀が圧勝で甲子園へ猛進

三重県大会初戦で神村学園伊賀・西川篤夢が投打にわたる活躍を見せ7回コールド勝ち。NPB9球団16人のスカウトが注目する二刀流の原石が、甲子園への道を切り開く。

【夏の甲子園2025】下剋上を実現した奇跡のバッテリー!京都国際・猪股琉牙が描いた戦略的リードの全貌
高校野球

【夏の甲子園2025】下剋上を実現した奇跡のバッテリー!京都国際・猪股琉牙が描いた戦略的リードの全貌

昨年王者・京都国際が優勝候補・健大高崎を撃破した熱戦の軌跡。猪股捕手の戦略的リードと西村投手の好投を軸に、下剋上を実現した決勝戦の全貌を徹底解説。

【熊本高校野球】制球力の鬼・山本凌雅擁する熊本工が連覇へ!本格派右腕井藤哲稀の成長でライバル校を圧倒せよ
高校野球

【熊本高校野球】制球力の鬼・山本凌雅擁する熊本工が連覇へ!本格派右腕井藤哲稀の成長でライバル校を圧倒せよ

制球力抜群のエース山本凌雅を中心に昨年の主力メンバーが残る熊本工が連覇を狙う。東海大熊本星翔の右の二枚看板や有明の若手左腕群との熱戦が予想される今大会の見どころを徹底分析。7月5日開幕の熱戦スケジュールも掲載。

地域と共に歩む彦根工野球部 ごみ拾いが紡ぐ絆と甲子園への誓い
高校野球

地域と共に歩む彦根工野球部 ごみ拾いが紡ぐ絆と甲子園への誓い

彦根工業高校野球部が地域清掃活動を通じて築くコミュニティとの絆。ごみ拾いがチームの結束力を高め、甲子園を目指す若者たちの真剣な取り組みを追う。

最後の夏、9人の魂が紡ぐ熱闘 布施工科野球部が遺した不屈の軌跡
高校野球

最後の夏、9人の魂が紡ぐ熱闘 布施工科野球部が遺した不屈の軌跡

閉校目前の布施工科野球部が9人だけで挑んだ大阪大会。元マネージャーの女性教諭監督率いるチームが、人数不足と練習環境の悪条件を跳ね返し、最後まで全力で戦い抜いた熱い軌跡を追う。

秋の敗戦から春の頂点へ 徳島商が描く"チーム力全開"の甲子園革命
高校野球

秋の敗戦から春の頂点へ 徳島商が描く"チーム力全開"の甲子園革命

秋季初戦敗退の逆境を乗り越え春季優勝を果たした徳島商。熾烈なポジション争いと選手同士の切磋琢磨が生む新たな可能性に迫る。2年ぶりの夏の甲子園へ向けた熱き挑戦をレポート。

聖光学院が4年連続甲子園切符!5戦4逆転劇で挑む『春の雪辱』
高校野球

聖光学院が4年連続甲子園切符!5戦4逆転劇で挑む『春の雪辱』

聖光学院野球部が前人未到の4年連続甲子園出場を決断!5試合中4試合で逆転劇を演じる驚異の粘りで会津北嶺を撃破。春季大会のリベンジへ向けた熱い戦いの軌跡を徹底解説。

激戦必至!広島商・広陵・英数学館が三つ巴の熱闘 2025年夏の甲子園切符を懸けた広島大会徹底分析
高校野球

激戦必至!広島商・広陵・英数学館が三つ巴の熱闘 2025年夏の甲子園切符を懸けた広島大会徹底分析

2025年夏の甲子園を目指す広島大会は、選抜8強の広島商を中心に、3年連続出場を狙う広陵、春県大会優勝の英数学館が激突。圧倒的な投手力と緻密な戦術が火花を散らす熱戦を展望する。

【熱闘・福岡大会】松尾航輝137球の魂! 酷暑越えたサヨナラ劇弾 福岡工が甲子園への扉を叩く
高校野球

【熱闘・福岡大会】松尾航輝137球の魂! 酷暑越えたサヨナラ劇弾 福岡工が甲子園への扉を叩く

甲子園常連・福岡工が筑紫丘との死闘をサヨナラ勝ちで制覇。エース松尾航輝が137球の熱投でチームを引っ張り、2年・川崎哲平の劇的打撃が決勝点。気温35度超の過酷な環境下で繰り広げられた熱戦の全貌。

甲子園春夏連覇への挑戦 横浜ナインが四字熟語で築く新たな伝統と葛藤
高校野球

甲子園春夏連覇への挑戦 横浜ナインが四字熟語で築く新たな伝統と葛藤

春のセンバツ優勝校・横浜高校が夏の甲子園で27年ぶりの春夏連覇へ突進。村田監督が導入した四字熟語を軸としたチーム改革が選手たちに浸透する中、伝統継承と現代野球の融合に挑む若き戦士たちの熱き闘いをレポート。

甲子園36年ぶりの熱血挑戦!近大福山・藤原康貴が紡ぐ父子の絆と鉄壁守備
高校野球

甲子園36年ぶりの熱血挑戦!近大福山・藤原康貴が紡ぐ父子の絆と鉄壁守備

36年ぶりの甲子園出場を目指す近大福山高校野球部。プロ4球団が注目する185cm捕手・藤原康貴の圧倒的長打力と、父が築いた練習環境に迫る熱血ストーリー。

【因縁の激闘】聖光学院vs光南!東北大会切符を懸けた熱血準決勝の全貌【2025春・福島県高校野球】
高校野球

【因縁の激闘】聖光学院vs光南!東北大会切符を懸けた熱血準決勝の全貌【2025春・福島県高校野球】

聖光学院と光南が再び激突!87連勝を止めた因縁のライバル対決に福島県中が熱狂。東北大会出場権を懸けた準決勝の戦術分析と歴史的瞬間を徹底解説。

【2025夏兵庫大会】秋春連覇の東洋大姫路に挑む黒馬は?抽選会直前!シード校分析と激戦区展望
高校野球

【2025夏兵庫大会】秋春連覇の東洋大姫路に挑む黒馬は?抽選会直前!シード校分析と激戦区展望

2025年夏の高校野球兵庫大会抽選会を前に、秋春連覇の東洋大姫路を中心にシード校の戦力分析と注目カードを徹底予想。網干高校の初シードや公立校の台頭に焦点を当てる。

熱血!富山第一が延長死闘の末に13年ぶり頂点 北信越高校野球大会決勝レポート
高校野球

熱血!富山第一が延長死闘の末に13年ぶり頂点 北信越高校野球大会決勝レポート

富山第一高校が延長十回の死闘を制し、13年ぶり2度目の北信越大会優勝を果たした。長野商との激闘を7-6で制した決勝戦の詳細レポート。和泉投手の好投や九回裏の同点劇など、劇的な瞬間を振り返る。

Load More

We use essential cookies to make our site work. With your consent, we may also use non-essential cookies to improve user experience and analyze website traffic. By clicking "Accept," you agree to our website's cookie use as described in our Cookie Policy.