【高校野球】沖縄尚学・比嘉監督が語る「止める時代」と選手と監督の変化
第 97 回選抜高校野球大会が 18 日に開幕する。沖縄尚学の比嘉公也監督は、選手と監督という異なる立場から甲子園を見てきた。情報量が多い今は、合わないものを「止める時代」だと話す比嘉監督に、選手時代と監督時代の変化について聞いた。

高校野球:沖縄尚学・比嘉監督が語る「止める時代」と選手と監督の変化
第 97 回選抜高校野球大会が 18 日に開幕する。2 年ぶり 8 回目の出場となる沖縄尚学(那覇市)の比嘉公也監督(43 歳)は、過去 2 回の優勝経験を誇る。1 回目は選手として挑んだ 1999 年。2 回目はその 9 年後、監督として制覇した。選手と監督という異なる立場から甲子園を見てきた。情報量が多い今は、合わないものを「止める時代」だと話す比嘉監督に、選手時代と監督時代の変化について聞いた。【聞き手・大坪菜々美】
「日常生活を大事にせい」
比嘉監督は高校時代、沖縄県勢初の甲子園優勝を果たした。そこに導いた金城孝夫監督(当時)が練習で大切にしていたことで、思い出すことはありますか。
野球の技術指導の記憶より、生活指導の方が印象に残っています。「日常の生活を特に大事にせい」ということはよく言われていました。
具体的にはどのようなことですか。
単純に時間を守るとか、授業態度や身の回りの整理整頓。いわゆる当たり前のことを当たり前にせいと。そこの甘さがゲームに出るということだと、今振り返ると思います。ただ当時は、練習以外のことを厳しく指導して、それが本当に野球の結果につながるのかなという疑問はありました。それでも結果としてついてきているから、正しいのだろうと。
優勝して沖縄県民の反応はいかがでしたか。
人が空港から学校まで途切れることなくいた印象です。バスに乗って学校まで戻ったと思いますが、沿道にはたくさんの人が集まってくれて、手を振ってくれました。沖縄は野球熱が高いというのは知っていましたが、こんなに多くの人に喜んでもらえたんだなという感じでした。
多くの人の応援や期待を受けて、プレッシャーを感じることはありましたか。
センバツで優勝したあとは、やはり期待に応えなくてはいけないと思う自分もいました。それが変な力みにつながることがあり、練習試合では思うようにボールを投げられない日々が続いていました。今思うとそういう心境でやっていたなと思います。自分にできることの倍の期待値がかかるので、自分にできることをやりなさいと今の選手たちには言っています。
反面教師に
2006 年 6 月に沖縄尚学の監督に就任されました。選手に大切にしてほしいことは。
常に自分の現状を知るということですかね。例えば良いピッチャーになりたいなら、そのために何が必要なのか、いろいろな方法論を導きだして、そこから練習しなさいと言っています。私が高校生の時は、言われたことだけをやっていた感じでした。自分のダメだったところは、より良い方向に変えていきたい。常に自分を反面教師にしています。
時代の変化ですね。
今と過去では情報量が違います。当時は指導者に言われることに何の疑いもなく、「はい」と言って練習していました。ただ今の時代は情報にあふれ、自分で学び、チャレンジもできる時代。なので逆に「これはお前に合っていないんじゃないのか」とか、「やめた方がいいんじゃないの」などと止める時代というのですかね。そんな時代になりつつあると思います。ただ過去と変わらないこともあります。時間を守るなど生活面のことは変わらないと思っています。
センバツが目の前に迫っています。目標は。
沖縄尚学は甲子園の勝利が春夏を通じて通算 26 勝です。ですので、選手たちとは(今大会で)30 勝を目指そうぜという話をしています。大きいことを言っていても仕方がないのですが。やはり一つ一つやるべきことをみんなでやっていく必要があるとも話しています。