佐野海舟が選ばれなかった理由とは?森保監督の思惑を読み解く
日本代表のメンバー選考について、森保監督が佐野海舟を招集しなかった理由を解説。スケジュールや戦術的な理由から、「いつも通りのメンバー」になったと分析。

佐野海舟が選ばれなかった理由とは?森保監督の思惑を読み解く
ドイツ・ブンデスリーガで活躍を続ける佐野海舟(24 歳)。所属するマインツは CL 圏内の 3 位につけている。
3 月 20 日のバーレーン戦、同 25 日のサウジアラビア戦に臨む日本代表のメンバーは、これまでとほぼ同じ顔触れが並んだ。ドイツ・ブンデスリーガのマインツで主軸となっている MF 佐野海舟、同じくブンデスリーガで 7 ゴールをあげている FW 町野修斗は、今回も招集されていない。
「いつも通りのメンバー」となった最大の理由
佐野が主戦場とするセントラル MF では、キャプテンの遠藤航、守田英正、田中碧、藤田譲瑠チマが招集されている。守田は 2 月に入ってからケガで離脱していたが、3 月 9 日のリーグ戦で途中出場している。ひとまず人員の不足はない。
所属クラブで結果を残していながら、スカッド入りしていない選手は他にもいる。デンマーク 1 部で 9 得点 4 アシストを記録している FW 鈴木唯人、オランダ・エールディビジの AZ でスタメン出場を続けている DF 毎熊晟矢、ベルギーのヘントに在籍する MF 伊藤敦樹らは、招集されてもおかしくないだろう。
レギア・ワルシャワ(ポーランド 1 部)の森下龍矢、ジル・ヴィセンテ(ポルトガル 1 部)の藤本寛也らも、代表入りの有資格者と言ってもいい。ケガ人が多い CB は、J リーグからも候補者を見つけることができる。森保一監督も 3 月 13 日のメンバー発表会見で「招集していない選手たちのことはできるだけ言及はしないでおこうと思いますが……」としつつ、「J リーグで存在感を発揮している選手、ヨーロッパなど海外で力を発揮している選手がいるなかで、メンバーに入っていてもおかしくない選手は数多くいる」と話している。
そうした状況で「いつも通り」となった最大の理由は、スケジュールにある。
今回の活動は昨年 11 月のインドネシア、中国との連戦以来となる。しかも、3 月 20 日のバーレーン戦には、わずか 3 回のトレーニングセッションで臨まなければならない。17 日の練習初日は身体をほぐす機会となり、戦術的な落とし込みは 18 日と 19 日だけになる。そのなかで、セットプレーも確認しなければならない。攻撃や守備の実戦的な練習は、かなり限られたものになる。
森保監督は選考について、こう説明している。
「去年の 11 月から間が空いたなかで、これまで戦ってきたこと、やってきたことを共有し、もう一度再確認して戦うことができる、勝つためのベストなメンバー編成を考えた」
タブレット端末などを使ってあらかじめ情報を共有し、トレーニングやミーティングの効率化を図ることはできる。ただ、ピッチ上でなければ確認できないことはある。およそ 4 カ月ぶりの実戦に少ない準備期間で臨むことを考えると、代表から一定期間離れている選手や、これまで招集したことのない選手を加えても、試合で使うのは難しいだろう。
選手によっては所属クラブと代表チームでシステムが異なり、同じシステムでもタスクは変わってくる。それもまた、「いつも通り」の理由にあげられる。戦列復帰から間もない守田が選ばれ、佐野を招集しなかったのも、森保監督が佐野を評価していないのではなく、スケジュールが一番の理由だったと考えるのが妥当だ。