【ラグビー】渡邉隆之、今季初出場で2スティールの活躍!準々決勝で神戸スティーラーズを勝利に導く

ラグビー準々決勝で、渡邉隆之が今季初出場で2スティールを決め、神戸スティーラーズの勝利に大きく貢献しました。

ラグビーリパブリック(ラグビーマガジン) 2025/5/19 12:00

大一番で大きな仕事をやってのけた。最終節に続く同カードの連戦となったリーグワンプレーオフ準々決勝の静岡ブルーレヴズ対コベルコ神戸スティーラーズ戦。35-20で1週前(23-29)の雪辱を果たしたスティーラーズの殊勲者のひとりが、背番号18の右PR、10日後に31歳の誕生日を迎える渡邉隆之だった。

後半6分過ぎ、先発の山下裕史に代わってピッチに登場するや、直後のブレイクダウンで相手ボールキャリアに絡んでノットリリースザボールのペナルティを獲得。28分にも右タッチライン際でスティールを決めてチームの危機を救った。最大の焦点だったスクラムでも、互角以上に渡り合って主導権を譲らなかった。

実はこの試合が今季初のメンバー入りだった。チーム内では山下裕史、具智元というリーグ屈指のタイトヘッド2人との競争が日々待ち受ける。決して自分のコンディションも悪いわけではなかったが、なかなかチャンスは巡ってこなかった。

「負けた、とはいいたくないんですけど、ヤンブーさんもすごいですし、具もいますし、その競争の中で、3番手になっていた」

それでもこの重要な一戦でリザーブに名を連ねられたのは、Bチームで懸命にトレーニングに取り組む姿がスタッフ陣に認められていたからだろう。自身を抜擢したデイブ・レニーHCの判断を「勇気あるな、と思いました」と笑顔で振り返りつつ、メンバー入りが決まった時の心境をこう明かす。

「ずっとメンバーに入るために努力してきたので、素直にうれしかったし、やってやるぞ、という気持ちになりました。もちろん不安はありましたし、緊張もしました。でもメンバー外で一緒にやってきた仲間たちがすごく喜んで、いろいろ声をかけてくれて。最後は僕がこれまでやってきたことを出すだけだ、と。勝ってホッとしています」

勝負の要点であるスクラムでは、組み合う前のせめぎ合いに重点を置いて準備してきたという。

「先週の試合ではスクラムが劣勢だったので、全員で意識を変えて取り組もうといってきました。具体的にはバインドのファイトのところで絶対に下がらないようにしよう、と。ブルーレヴズはスクラムにかけてくる。そこでファイトしないと負けてしまうので、絶対に下がらないぞ、という気持ちで組むことを意識していました」

2本のスティールについては、「必死というか。ただただ目の前のファイトに勝とうと思っていて、それがたまたまスティールにつながった」と語る。ここでも要因に挙げるのは、激しいチーム内競争だ。

「普段からガズラ(ブロディ・レタリック)やヴィリー(・ポトヒエッター)らすごく強いFWとやっているんで。その成果が出たかな、と」

東海大学3年時の2015年に練習生として日本代表合宿に招集され、同年8月のウルグアイ戦でテストマッチデビュー。その数週間後に南アフリカ代表を撃破するW杯スコッドのバックアップメンバーにも名を連ねた。これまで獲得したキャップは10を数える。

2017年のアイルランド戦を最後に国際舞台から遠ざかり、近年はスティーラーズでもなかなか出場機会をつかめないシーズンが続いていたが、この日の33分あまりで見せたパフォーマンスは、大学時代から「間違いなく日本代表の3番を背負う存在」と評されてきた逸材のポテンシャルを、あらためて思い起こされるものだった。

1週後の準決勝では、リーグ戦首位通過の前年度王者、東芝ブレイブルーパス東京と対峙する(5月24日14時5分キックオフ@秩父宮ラグビー場)。目指すはもちろん2018年のトップリーグ以来となる日本一だ。表舞台に帰ってきた大器が、スティーラーズの勢いをさらに加速させる。

(文:直江光信)

次に読むべきもの

ラグビー日本代表、ウェールズに12年ぶりの劇的勝利!若手選手がチームを牽引
ラグビー

ラグビー日本代表、ウェールズに12年ぶりの劇的勝利!若手選手がチームを牽引

ラグビー日本代表がウェールズに12年ぶりの勝利を収め、若手選手の活躍が光りました。エディー・ジョーンズHCもチームを称賛。

【詳細レポート】神戸スティーラーズが静岡ブルーレヴズを破り、プレーオフ準決勝へ!
ラグビー

【詳細レポート】神戸スティーラーズが静岡ブルーレヴズを破り、プレーオフ準決勝へ!

2025年5月17日、神戸スティーラーズが静岡ブルーレヴズを圧倒し、プレーオフ準決勝進出を決めた試合の詳細レポート。

静岡ブルーレヴズの新戦略:ラグビー界の改革とホストスタジアムの重要性
ラグビー

静岡ブルーレヴズの新戦略:ラグビー界の改革とホストスタジアムの重要性

静岡ブルーレヴズの山谷拓志社長が語る、ラグビー界の改革とホストスタジアムの重要性。新たな戦略と組織体制の変更について詳しく解説。

【リーグワン】東京ベイが堅守で準決勝進出!立川理道が語る連戦への意気込み
ラグビー

【リーグワン】東京ベイが堅守で準決勝進出!立川理道が語る連戦への意気込み

東京ベイが堅い守備で東京SGを破り、リーグワン準決勝進出を決めた。立川理道が連戦への意気込みを語る。

BL東京、史上初の連覇達成!モウンガの不屈の精神が勝利を導く
ラグビー

BL東京、史上初の連覇達成!モウンガの不屈の精神が勝利を導く

BL東京がラグビー・リーグワン・プレーオフ決勝で東京ベイを破り、史上初の連覇を達成。モウンガの活躍が勝利の鍵となった。

【ラグビー】日本代表、ウエールズに歴史的勝利!リーチキャプテンのリーダーシップが鍵
ラグビー

【ラグビー】日本代表、ウエールズに歴史的勝利!リーチキャプテンのリーダーシップが鍵

日本代表がウエールズに24-19で勝利し、史上2度目の勝利を収めました。リーチキャプテンのリーダーシップが勝利の鍵となりました。

【ラグビー】中山二千翔の復活物語:ケガから学んだプレーの本質
ラグビー

【ラグビー】中山二千翔の復活物語:ケガから学んだプレーの本質

東洋大学の中山二千翔選手がケガを乗り越え、ラグビーへの情熱とプレーの本質を見つめ直すストーリー。

2025年ラグビー国際シリーズ:豊原謙二郎氏が実況で熱戦を伝える
ラグビー

2025年ラグビー国際シリーズ:豊原謙二郎氏が実況で熱戦を伝える

2025年ラグビー国際シリーズの注目カードを豊原謙二郎氏が実況。NHK退職後初のラグビー実況で、熱戦を伝える。

【2025年ラグビー】サクラフィフティーン vs スペイン戦: マッケンジーHCの戦略と選手たちの意気込み
ラグビー

【2025年ラグビー】サクラフィフティーン vs スペイン戦: マッケンジーHCの戦略と選手たちの意気込み

2025年7月19日、サクラフィフティーンがスペインと対戦。マッケンジーHCの戦略と選手たちの意気込みを紹介。

女子日本代表ラグビー、スペイン戦に向けて新主将FL向来桜子が意気込みを語る
ラグビー

女子日本代表ラグビー、スペイン戦に向けて新主将FL向来桜子が意気込みを語る

女子日本代表ラグビーがスペイン戦に臨む。新主将FL向来桜子がチームへの想いと戦略を語り、試合への意気込みを示す。

ラグビー日本代表の奮闘と新戦力の登場:ウエールズ戦の裏側とグリーンロケッツの新加入選手
ラグビー

ラグビー日本代表の奮闘と新戦力の登場:ウエールズ戦の裏側とグリーンロケッツの新加入選手

ラグビー日本代表のウエールズ戦での奮闘と、グリーンロケッツの新加入選手に関する最新情報をまとめました。

【完全版】関東大学オールスターゲーム2025:対抗戦選抜がリーグ選抜を破る大激戦!
ラグビー

【完全版】関東大学オールスターゲーム2025:対抗戦選抜がリーグ選抜を破る大激戦!

2025年7月6日、東京・秩父宮ラグビー場で開催された関東大学オールスターゲーム。対抗戦選抜がリーグ選抜を破り、熱戦を繰り広げた試合の詳細を紹介。

【ラグビー日本代表】宮崎合宿最新情報:高本とむ追加招集、松永拓朗・土永旭離脱
ラグビー

【ラグビー日本代表】宮崎合宿最新情報:高本とむ追加招集、松永拓朗・土永旭離脱

ラグビー日本代表の宮崎合宿で、高本とむが追加招集され、松永拓朗と土永旭が離脱。最新情報を詳しく解説。

36歳リーチ、全試合出場で2季連続優勝!決勝戦で見せたベテランの貫禄
ラグビー

36歳リーチ、全試合出場で2季連続優勝!決勝戦で見せたベテランの貫禄

36歳のリーチが全試合出場で2季連続優勝を果たし、決勝戦でフル出場して勝利に貢献。ベテランの貫禄を見せつけた。

早稲田大学ラグビー部、野中健吾キャプテンが率いる新チームの挑戦
ラグビー

早稲田大学ラグビー部、野中健吾キャプテンが率いる新チームの挑戦

早稲田大学ラグビー部の野中健吾キャプテンが、新チームを率いて全国大学ラグビー選手権での優勝を目指す。

Load More

We use essential cookies to make our site work. With your consent, we may also use non-essential cookies to improve user experience and analyze website traffic. By clicking "Accept," you agree to our website's cookie use as described in our Cookie Policy.