NTTジャパンラグビーリーグワン決勝戦:BL東京の戦術的勝利とリーグ全体のレベルアップ
2025年NTTジャパンラグビーリーグワン決勝戦で、BL東京が東京ベイを破り、戦術的優位性を発揮。リーグ全体のレベルアップも印象的。

決勝戦の概要
2025年6月1日、東京・国立競技場で行われたNTTジャパンラグビーリーグワン1部プレーオフ決勝は、BL東京が東京ベイを18-13で破り、見事な勝利を収めました。この試合は、両チームの反則が一桁にとどまり、ロースコアの引き締まったゲームとして記憶に残るものとなりました。
BL東京の戦術
BL東京は、リーグ戦1位通過で準々決勝を回避できたアドバンテージを最大限に活用しました。東京ベイがリーグ戦では経験したことのない6週連続のゲームで疲労が抜けきらないことを念頭に、前半からFWを前面に出し、相手強力FWにタックルをさせて疲れさせる戦術を立て、遂行しました。
攻撃の特徴
今季のBL東京の特長は、FWが近い距離で細かくパスをつなぎ、相手のタックルをズラす攻撃をすることです。相手ディフェンスに正面から当たらないことで、強度の強いタックルを受けないと同時に、タックラーを横や後ろにひきずることができます。
キープレーヤー
BL東京の攻撃面では、SOモウンガがキーマンでした。相手がマークしていればパス、スペースが空けばラン、もしくはショートキックと、全体を俯瞰して自在に動きました。この日も2トライの両方に絡んでおり、経験が体にしみこんでいて、スペースを肌で感じられる素晴らしいSOでした。
リーグ全体のレベルアップ
今季のリーグワンは、12チームのレベル差が縮小し、上位常連のチームでも絶対に勝てる相手がなくなりました。ディビジョン1から3まで、すべてのチームがレベルアップした印象で、接戦が増えて最終節まで順位が確定しませんでした。これは、展開ラグビーでグラウンドを広く使い、15人全員がゲームに参加する日本のラグビーは面白い、と観客だけでなく、海外にも認知され、海外からいい選手が集まったことが大きな理由でしょう。
TMOの改善
最後に、今季はTMOのストレスが減ったことも付け加えておきたいです。ビデオの選択が早く、的確になって、TMOにかける時間が短縮されました。レフェリー、カメラマン、編集技術者の連携の努力のお陰で、この日の後半16分のスロー・フォワードのTMOも的確なカメラワークでわかりやすかったです。目立たないが、これらの努力にも拍手を贈りたいと思います。