ライバル校の友情と絆:メンバー不足を乗り越えた高校野球の感動ストーリー
メンバー不足に直面した嘉手納高校野球部に、ライバル校の読谷高校から選手が加わり、友情と絆で困難を乗り越えた感動の物語。

ライバル校からの支援
2025年6月15日、第107回全国高校野球選手権沖縄大会1回戦で、嘉手納高校野球部はメンバー不足という深刻な問題に直面していました。昨秋には部員がぎりぎり9人にまで減少し、うち1人が病気で練習に参加できない状況でした。このため、チームは実質8人での活動を余儀なくされ、大会出場が危ぶまれていました。
読谷高校からの選手加入
この危機的状況を打開するため、嘉手納高校は近隣のライバル校である読谷高校と相談し、読谷高校から2人の選手が加入することになりました。これは「単独廃校ルール」を活用したもので、自校に5人以上の部員がいれば、合計10人になるまで他校から部員を借りられる制度です。両校は今春から一緒に練習を開始し、夏の沖縄大会に臨みました。
試合当日の様子
試合当日、一塁側のスタンドからは、読谷高校の部員約60人が持つえんじ色のメガホンと共に、嘉手納のメンバー10人を応援する大声援が飛び交いました。読谷高校の主将、新垣陽友(3年)は、「ライバルだけど、同じチームくらい応援したい気持ちが強いんです」と声をからしながら語りました。
新垣吏飛の活躍
読谷高校から加入した新垣吏飛(2年)は、この日「9番・右翼」で出場しました。彼は読谷高校でベンチ入りした経験がありましたが、「このままベンチで終わるかもしれない。監督から『嘉手納で頑張らないか』と声をかけられたとき、試合に出られるのなら、そっちの方が楽しいと思った」と語りました。
試合後の感想
試合は嘉手納高校の敗北に終わりましたが、新垣吏飛は「おもしろい先輩ばかりで、すぐにチームになじめるような雰囲気を作ってくれました。本当に楽しかった」と感想を述べました。嘉手納高校の主将、比嘉壮太(3年)も、「彼らがいないと練習試合もできなかった。こうやって最後まで試合ができて感謝しかない」と感謝の言葉を述べました。
友情の絆
試合後、球場外では読谷高校の部員たちが、嘉手納高校の選手たちを待っていました。「お疲れさま。本当に頑張ったよ」「ありがとうな。おれたちも絶対に応援に行くからな」と、両校の友情の絆が感じられる場面でした。
この試合は、メンバー不足という困難を乗り越え、ライバル校同士の友情と絆で成し遂げられた感動のストーリーとして、高校野球ファンの心に深く刻まれることでしょう。