【大阪桐蔭、夏の甲子園へ!】森陽樹&中野大虎が描く常勝軍団の軌跡

大阪桐蔭高校野球部の森陽樹と中野大虎が、夏の甲子園大会に向けて最後の調整に臨む。常勝軍団の軌跡を追う。

大阪桐蔭、夏の甲子園へ

第107回全国高校野球選手権大会(8月5日から18日間、甲子園)の出場校を決める大阪大会が、5日に幕を開ける。今春の大阪大会覇者であり、今大会の優勝候補筆頭に挙がる大阪桐蔭の直前公開練習の様子を、記事と動画で届ける。

森陽樹と中野大虎のブルペン投球

1951年の統計開始以降、最も早い梅雨明けとなった2025年の近畿地方。大阪府大東市内のグラウンドにも、午前中から6月下旬とは思えない強い日差しが照りつけた。そんな中、大阪桐蔭ナインの動きも熱を帯びた。強化練習も最終段階。目前に迫った夏の大阪大会へ向け、最後の仕上げに入った。

今年のチームの生命線とも言える2枚看板も、順調だ。この日はブルペンで投球計測機器「ラプソード」を用いて球速などを測定。身長1メートル90、体重88キロの最速153キロ右腕・森陽樹(3年)は約40球を投げ込み、やや荒れ気味の剛球を捕手のミットに叩き込んでいく。直球の最速は150・7キロ、投球回転数は2700をマーク。NPBの平均2300回転前後を大きく上回り、メジャーでもトップクラスの数値に、解析を担当したネクストベース社・森本崚太氏も「あくまで回転数だけで言うとプロでもトップ層」と説明した。ただし、回転軸には課題もあるという。

最速149キロ右腕の中野大虎(3年)は、約60球を投げ込んだ。こちらは切れ味鋭い直球を捕手のミットに突き刺していった。直球の投球回転数は2100台だったというが、森本氏は「中野くんは回転数自体は少ないですが、回転軸はきれいですね」と評した。球威があり、かつ打者の手元で伸び上がる直球を投げるには、投球回転数と回転軸の2大要素が大きく関係する。その2項目を比較するだけでも、森と中野が投手として対照的なタイプであることが分かる。

チームの目標

ともに超高校級の素材と言える両腕。高校最後の夏に向け、見据える目標は共通している。森が「一番(大事なこと)はチームが勝つこと。自分の持っているものを出せたらチームも勝てると思う」と意気込めば,中野も「自分の代で甲子園に出場していないので,まずは甲子園に出場して,そして大阪桐蔭の目標である日本一を達成して,高校野球を終えたいという気持ちでいっぱいです」と決意を新たにした。互いを補完し合い,夏の日本一に照準を合わせる。そんな両投手のブルペン投球を間近から撮影した動画は,迫力満点だ。

西谷浩一監督の言葉

チームは夏本番を前に,気力充実。それでも甲子園大会で歴代最多の春夏通算70勝,同8度の優勝を誇る名将・西谷浩一監督は「日本一を目指してやっているということを言っていますが,今のままでは大阪も勝てないという気持ちでやっています」と手綱を締めることを忘れない。続けて「選抜に行けなかった分,夏一本に絞ろうということで,やってきましたので,それが口だけではなく実証できるように,やっていきたいと思います」と言葉に力をこめた。

現チームの課題

現チームは,大阪2位で臨んだ昨秋の近畿大会は初戦で滋賀学園(滋賀)に敗れて選抜出場を逃した。大阪を制して進出した今春の近畿大会も初戦で東洋大姫路(兵庫)に屈辱のコールド負けを喫した。悔しさを糧に,夏に臨む常勝軍団。森,中野に加え,左腕・佐井川湧牙(3年),右腕・吉岡真介(2年)らが居並ぶ全国屈指の投手陣を擁し,最高に熱い夏を過ごすつもりだ。

次に読むべきもの

【甲子園】スカイブルー旋風!山梨学院が鮮烈11得点で昨夏王者撃破 ユニホーム進化論に迫る
高校野球

【甲子園】スカイブルー旋風!山梨学院が鮮烈11得点で昨夏王者撃破 ユニホーム進化論に迫る

甲子園準々決勝で鮮烈スカイブルー軍団・山梨学院が昨夏王者を撃破。ユニホーム進化と打線爆発の相関関係を徹底分析。躍進を支える「水色の戦略」に迫る。

【三重発】二刀流の星・西川篤夢が放つ145km&3安打! 神村学園伊賀が圧勝で甲子園へ猛進
高校野球

【三重発】二刀流の星・西川篤夢が放つ145km&3安打! 神村学園伊賀が圧勝で甲子園へ猛進

三重県大会初戦で神村学園伊賀・西川篤夢が投打にわたる活躍を見せ7回コールド勝ち。NPB9球団16人のスカウトが注目する二刀流の原石が、甲子園への道を切り開く。

【夏の甲子園2025】下剋上を実現した奇跡のバッテリー!京都国際・猪股琉牙が描いた戦略的リードの全貌
高校野球

【夏の甲子園2025】下剋上を実現した奇跡のバッテリー!京都国際・猪股琉牙が描いた戦略的リードの全貌

昨年王者・京都国際が優勝候補・健大高崎を撃破した熱戦の軌跡。猪股捕手の戦略的リードと西村投手の好投を軸に、下剋上を実現した決勝戦の全貌を徹底解説。

【熊本高校野球】制球力の鬼・山本凌雅擁する熊本工が連覇へ!本格派右腕井藤哲稀の成長でライバル校を圧倒せよ
高校野球

【熊本高校野球】制球力の鬼・山本凌雅擁する熊本工が連覇へ!本格派右腕井藤哲稀の成長でライバル校を圧倒せよ

制球力抜群のエース山本凌雅を中心に昨年の主力メンバーが残る熊本工が連覇を狙う。東海大熊本星翔の右の二枚看板や有明の若手左腕群との熱戦が予想される今大会の見どころを徹底分析。7月5日開幕の熱戦スケジュールも掲載。

地域と共に歩む彦根工野球部 ごみ拾いが紡ぐ絆と甲子園への誓い
高校野球

地域と共に歩む彦根工野球部 ごみ拾いが紡ぐ絆と甲子園への誓い

彦根工業高校野球部が地域清掃活動を通じて築くコミュニティとの絆。ごみ拾いがチームの結束力を高め、甲子園を目指す若者たちの真剣な取り組みを追う。

最後の夏、9人の魂が紡ぐ熱闘 布施工科野球部が遺した不屈の軌跡
高校野球

最後の夏、9人の魂が紡ぐ熱闘 布施工科野球部が遺した不屈の軌跡

閉校目前の布施工科野球部が9人だけで挑んだ大阪大会。元マネージャーの女性教諭監督率いるチームが、人数不足と練習環境の悪条件を跳ね返し、最後まで全力で戦い抜いた熱い軌跡を追う。

秋の敗戦から春の頂点へ 徳島商が描く"チーム力全開"の甲子園革命
高校野球

秋の敗戦から春の頂点へ 徳島商が描く"チーム力全開"の甲子園革命

秋季初戦敗退の逆境を乗り越え春季優勝を果たした徳島商。熾烈なポジション争いと選手同士の切磋琢磨が生む新たな可能性に迫る。2年ぶりの夏の甲子園へ向けた熱き挑戦をレポート。

聖光学院が4年連続甲子園切符!5戦4逆転劇で挑む『春の雪辱』
高校野球

聖光学院が4年連続甲子園切符!5戦4逆転劇で挑む『春の雪辱』

聖光学院野球部が前人未到の4年連続甲子園出場を決断!5試合中4試合で逆転劇を演じる驚異の粘りで会津北嶺を撃破。春季大会のリベンジへ向けた熱い戦いの軌跡を徹底解説。

激戦必至!広島商・広陵・英数学館が三つ巴の熱闘 2025年夏の甲子園切符を懸けた広島大会徹底分析
高校野球

激戦必至!広島商・広陵・英数学館が三つ巴の熱闘 2025年夏の甲子園切符を懸けた広島大会徹底分析

2025年夏の甲子園を目指す広島大会は、選抜8強の広島商を中心に、3年連続出場を狙う広陵、春県大会優勝の英数学館が激突。圧倒的な投手力と緻密な戦術が火花を散らす熱戦を展望する。

【熱闘・福岡大会】松尾航輝137球の魂! 酷暑越えたサヨナラ劇弾 福岡工が甲子園への扉を叩く
高校野球

【熱闘・福岡大会】松尾航輝137球の魂! 酷暑越えたサヨナラ劇弾 福岡工が甲子園への扉を叩く

甲子園常連・福岡工が筑紫丘との死闘をサヨナラ勝ちで制覇。エース松尾航輝が137球の熱投でチームを引っ張り、2年・川崎哲平の劇的打撃が決勝点。気温35度超の過酷な環境下で繰り広げられた熱戦の全貌。

甲子園春夏連覇への挑戦 横浜ナインが四字熟語で築く新たな伝統と葛藤
高校野球

甲子園春夏連覇への挑戦 横浜ナインが四字熟語で築く新たな伝統と葛藤

春のセンバツ優勝校・横浜高校が夏の甲子園で27年ぶりの春夏連覇へ突進。村田監督が導入した四字熟語を軸としたチーム改革が選手たちに浸透する中、伝統継承と現代野球の融合に挑む若き戦士たちの熱き闘いをレポート。

甲子園36年ぶりの熱血挑戦!近大福山・藤原康貴が紡ぐ父子の絆と鉄壁守備
高校野球

甲子園36年ぶりの熱血挑戦!近大福山・藤原康貴が紡ぐ父子の絆と鉄壁守備

36年ぶりの甲子園出場を目指す近大福山高校野球部。プロ4球団が注目する185cm捕手・藤原康貴の圧倒的長打力と、父が築いた練習環境に迫る熱血ストーリー。

【因縁の激闘】聖光学院vs光南!東北大会切符を懸けた熱血準決勝の全貌【2025春・福島県高校野球】
高校野球

【因縁の激闘】聖光学院vs光南!東北大会切符を懸けた熱血準決勝の全貌【2025春・福島県高校野球】

聖光学院と光南が再び激突!87連勝を止めた因縁のライバル対決に福島県中が熱狂。東北大会出場権を懸けた準決勝の戦術分析と歴史的瞬間を徹底解説。

【2025夏兵庫大会】秋春連覇の東洋大姫路に挑む黒馬は?抽選会直前!シード校分析と激戦区展望
高校野球

【2025夏兵庫大会】秋春連覇の東洋大姫路に挑む黒馬は?抽選会直前!シード校分析と激戦区展望

2025年夏の高校野球兵庫大会抽選会を前に、秋春連覇の東洋大姫路を中心にシード校の戦力分析と注目カードを徹底予想。網干高校の初シードや公立校の台頭に焦点を当てる。

熱血!富山第一が延長死闘の末に13年ぶり頂点 北信越高校野球大会決勝レポート
高校野球

熱血!富山第一が延長死闘の末に13年ぶり頂点 北信越高校野球大会決勝レポート

富山第一高校が延長十回の死闘を制し、13年ぶり2度目の北信越大会優勝を果たした。長野商との激闘を7-6で制した決勝戦の詳細レポート。和泉投手の好投や九回裏の同点劇など、劇的な瞬間を振り返る。

Load More

We use essential cookies to make our site work. With your consent, we may also use non-essential cookies to improve user experience and analyze website traffic. By clicking "Accept," you agree to our website's cookie use as described in our Cookie Policy.