RB大宮アルディージャの挑戦:世界トップクラスの運営でJリーグを揺るがす
RB大宮アルディージャが世界トップクラスの運営を導入し、Jリーグに新たな風を吹き込む。原博実代表の独占インタビューで明らかになったクラブのビジョンと挑戦。

昨年、オーストリアのレッドブルへの株式譲渡が行われ、体制が大きく変わった大宮アルディージャ。外資による100%の買収はJリーグ史上初の試みであり、サッカー界に大きな衝撃を与えた。今シーズン、J2に昇格した大宮は、期待と不安が入り混じった複雑な心境で迎えることとなった。
しかし、新たに「RB大宮」として生まれ変わったクラブは、シーズン序盤からその強さを見せつけている。第8節を終えた時点で堂々の2位に位置し、満員のNACK5スタジアム大宮には熱気が渦巻いている。1年でのJ1昇格も、この勢いならば夢ではない。
新たに「RBクラブ」の一員となった大宮にいま、何が起こっているのか。代表取締役社長の原博実氏に、クラブのビジョンと挑戦について話を聞いた。
“すべてが徹底された”RB流のフィロソフィー
原氏は、今シーズンから正式に「RB大宮アルディージャ」として新たなスタートを切るにあたり、長澤監督やスタッフと共に欧州へ視察に行った。ザルツブルク、ミュンヘン、ライプツィヒを訪れ、RB流の運営手法を学んできたという。
「本当に、授業を受けに行ったという感じでした。ヘッド・オブ・スポーツサイエンスというところは、データを集めるための施設ですが、GPSなどもこれまで使っていた機器でなく、すべて自分たちと同じものを使えというんです。予算を取っていないよと言うと、それは自分たちが出すからと。私たちは私たちでやっていたんですけど、基準値が一緒にならないとデータを取っても意味がないからと。そういうふうにすべてが徹底されたやり方を学びました」
育成へのこだわりと投資
特に印象に残ったのは、育成へのこだわりと投資の仕方だという。ライプツィヒでは、トップチームとアカデミーが同じ場所にあり、アカデミーの選手たちがトップチームの選手たちを目の当たりにすることで、モチベーションを与える仕組みが整っていた。
「アカデミー側からトップの方を見ると、トップの選手たちがこっちを向いて自転車を漕いでいるのが見える。アカデミーの選手からしたら、どうやったらこの扉の向こうに行けるか、と考えるわけです。そういう、うまく刺激を与えるような作りになっているんですね」
新しい風を吹き込むRBの姿勢
リスクヘッジを第一に考えがちな日本企業のやり方と違って、「失敗してもいいから、とにかく挑戦する」というのがレッドブルのやり方だ。意思決定も早くなり、スピード感が違うと原氏は語る。同時に、これまで大宮が築いたものに対して、意外なほどリスペクトがあったとも語っていた。
「本国から派遣されてくるスペシャリストたちも、『大宮とはどういう街で、これまでどんなやり方をやっていて、どういう組織なのか、それを学びにきた』という姿勢でした。意外なほどオープンな目線で、彼らがこれまで積み上げてきた知見から改善点があれば指摘をくれる。そして、可能性があると思ったことには思い切った投資を行う。そういった姿勢も、大宮に新しい風を吹かせてくれているのだろう」
RB大宮アルディージャは、世界トップクラスの運営手法を導入し、Jリーグに新たな挑戦を始めている。その勢いは、今後のサッカー界に大きな影響を与えることだろう。