阪神・糸原健斗が示したプロ野球の真髄:ゲームチェンジャーとしての矜持
阪神の糸原健斗が中日戦で見せた代打としての活躍と、彼がチームに与える影響力について詳しく解説。

延長11回の決勝打
阪神は23日の中日戦(バンテリン)を延長11回の末に3―0で競り勝ち、連敗を2でストップさせました。連夜の延長戦を制し、首位の座を死守したこの試合で、キーマンとなったのは代打として起用された糸原健斗内野手(32)でした。
糸原健斗の粘り強いプレー
カウント2―2まで追い込まれた状況から、糸原はファウルで粘り、6球目の直球を中前打に仕留めました。この打席で彼は「何でもいいから塁に出ることだけ」を心がけていたと語り、その意図を完璧に実行しました。代走・植田との交代を告げられると、胸を張って自軍ベンチへ帰還。次打者・梅野が犠打でチャンスを拡大させると、上位に戻った打線は一気呵成の連打で応えました。
チームへの貢献
糸原の打率はまだ2割3分8厘と低いですが、彼のチーム内における存在感を数字だけで語ることは不可能です。時にムードメーカーとして、時に若手たちに範を示す年長者として、時に助っ人陣のメンタルケア役として、若手主体のチームを陰で支えています。
井上監督の評価
糸原を「事起こし請負人」として任命したのは、他ならぬこの日の敵軍の将・井上一樹監督(53)です。矢野政権下で打撃コーチ&ヘッドコーチを務めていた井上監督は、糸原の泥臭くも献身的なプレースタイルを誰よりも高く評価してきました。重要な立ち位置や局面を何度もこの男に託してきたのです。
代打の切り札としての系譜
チーム事情もあり、ベンチからのスタートが今は常となった糸原ですが、岡田前監督や、藤川現監督の政権下でもチームの極めて重要な戦力であることは変わらず、川藤→八木→桧山ら「代打の切り札」の系譜を継いでいくであろういぶし銀の男として、この日も渋く役割を果たしました。