甲子園41年遠ざかる公立校の伝説:KKコンビ撃破から現在まで 取手二高野球部の栄光と苦闘
1984年にPL学園を破り甲子園優勝を果たした茨城・取手二高。41年間甲子園出場が叶わない公立校の現在を、当時の優勝メンバーや練習環境から紐解くスポーツノンフィクション。

世紀の番狂わせから41年
1984年夏の甲子園決勝で、桑田真澄・清原和博の「KKコンビ」を擁するPL学園を破った取手二高。当時の主力選手だった下田和彦監督は「練習では毎日『PL対策』を徹底していました」と明かす。公立校ならではの創意工夫として、電車の車輪を使った筋力トレーニングや、利根川の河川敷を活用した持久走が勝利の礎となった。
伝説の舞台裏
- 桑田真澄の取手訪問:敗戦直後、単身で練習環境を視察
- 木内幸男監督の哲学:「野球より人間教育」を貫いた名将の指導法
- 現在の練習環境:当時と変わらぬグラウンドに残る「電車の車輪トレーニング」の痕跡
現代に続く挑戦
2025年現在、野球部員数は2年生2人を含む計12人。下田監督は「少人数だからこそできる個別指導」に力を入れ、データ分析を導入した新たな戦略を構築中だ。OB会が主催する「伝説の再現試合」では、1984年式の練習メニューを現代版にアレンジして継承している。
「甲子園出場より大切なものがある」と語る山崎昌弘コーチ。公立校の矜持を胸に、新たな歴史創造への挑戦が続く。