井上康生氏の柔道改革

井上康生氏は、柔道日本代表監督時代に大きな改革を断行しました。その中でも特に注目すべきは、選手の自主性を重視したチーム作りです。井上氏は「自主性を持って主体的に動くチーム」を目指し、選手の意識を変えることに成功しました。日常生活においても、身だしなみや言葉遣いを重視し、規律と個性のバランスを取ることで、チームの結束力を高めました。

組織改革とトレーニング強化

組織改革においても、井上氏は出身大学や過去の成績にこだわらず、プロフェッショナルな人材を積極的に採用しました。これにより、チームの多様性と専門性が向上しました。さらに、トレーニング改革として、ボディービルダーの岡田隆氏をコーチに招き、筋肉への知見を生かしたトレーニングを導入。自衛隊の活動にも参加し、高所訓練などを体験させることで、選手のフィジカルとメンタルを強化しました。

情報分析と戦略

情報分析にも新たな要素を取り入れ、強化委員会の科学研究部から石井孝法氏を招き、新たなシステムを構築しました。4万試合以上のデータを分析し、技の成功率や審判の傾向を数値化することで、戦略的な試合運びを可能にしました。これにより、五輪での勝率向上に大きく貢献しました。

東京五輪での成果

井上氏の改革の成果は、東京五輪で顕著に表れました。史上最多の5つの金メダルを獲得し、柔道日本代表の復権を成し遂げました。井上氏は監督時代を「誇り」と振り返り、今後も柔道だけでなく、日本で生きていく誇りを持って活動していくことを誓いました。

栗山英樹氏との対談

栗山英樹氏との対談では、指導者としての経験や組織を生かす仕事の難しさについて語り合いました。栗山氏は「超一流のプレーヤーが組織を生かす仕事に挑戦することの大変さ」を実感し、井上氏の改革に感銘を受けた様子でした。